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『クラウド・アトラス』/ハリウッド版火の鳥……とはいかなかった。

やってくれたなウォシャウスキー……。

 半年ほど前に見た海外版の予告編で期待度はMAXだった。いくつもの時代と様々人々の行動が一つの収束地点に向かっていく描写は、まるで村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』のような壮大で難解な物語の展開を予感させてくれた(もっとも、原作者のデイヴィッド・ミッチェルは村上春樹に影響を受けたのだというが)。確かに映画の予告は予告詐欺という言葉が横行するくらいに期待を裏切るものが多い。しかし、このPVからくる物語の感触は、人生の映画に数えられるだろう素敵な作品との邂逅を予感させて仕方がなかった。いいではないか、年に数回裏切られるくらい。きっと期待を上回ることがなくとも、鑑賞後には数日は残るだろう作品の余韻に浸れるに違いないのだから……。そんな気持ちを胸にこの数ヶ月間を過ごしてきた。……まるでコールガールをホテルの一室で待ちわびるチェリーボーイの如くな!

やってくれたなウォシャウスキー!!

 もうホント、この一言ですべてが片付いてしまう。マトリックスが公開直後、様々なコンテクストでの読解が試みられたにも関わらず、マトリックス・レボリューションで明示された作品の最終的なテーマが「それでもあきらめないことが大切!」という、結局のところ松岡修造が日ごろ叫んでいるようなメッセージだったということは我々の記憶に新しいところだが、今回も彼らはニーチェの永劫回帰を素材にした原作小説の主題を、そのウォシャウスキシズム的メッセージに置き換えてしまってくれているのだ(こういう、引用や構造ばかりに力を入れすぎちゃうのは押井守の影響なんだろうか)。いくつもの時代を廻り交差する人々のカルマ、しかし壮大な物語を見終わった後には漠然とした疑問を置き去りにしたままに、自身の中に最終的には何も残っていないことにあなたは驚愕するだろう。もっと言うならば、一人数役で各時代に登場させエンドロールでその役者の明かしをする様などは『ナッティ・プロフェッサー』をシリアス路線でやっただけというお寒い批判すら免れない。

やった喃……やってくれた喃、ウォシャウスキー!

 いやいや、映画はアレだったけど原作小説は素晴らしいはずだ。PVのみならず、鑑賞後にも物語の根底にある巨大な何かの存在を感じたのは確かなのだから。きっと原作で扱っていることが壮大すぎて描き切ることができなかったに違いない。六重奏のクラウド・アトラスの意味も、各話の主人公にある彗星型の痣(ジョジョじゃあないのよ)の秘密もまだ明らかになっていない。取りあえずAmazonで原作が届くまで待とう、評価はそれからである。(まぁ、原作でも松岡修造が叫んでたらアレなんだけど)


クラウド・アトラス 上

クラウド・アトラス 上




クラウド・アトラス 下

クラウド・アトラス 下

  • 作者: デイヴィッド・ミッチェル
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/01/22
  • メディア: 単行本



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