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『なんちゃって家族』/知性すら感じさせる下品さ

 ある雑誌で在邦ロシア人がこう語っていた。
「日本はスラングのバリエーションが少ないのが素晴らしいですよね。ロシアにはスラングの辞書さえあって、それはとても恥ずべき事だと思っています」

 確かにスラングが少ないというのは上品なことであり良いことなのかもしれない。日本人はそれを誇りに思ってもいいだろう。しかし、である。この映画『なんちゃって家族』を観てしまったならば、そんな美徳のために越える事のできないユーモアの壁が、我々(日本人)と彼ら(欧米人)の間に立ちはだかってしまっていることを痛感させられるはずだ。息をつかせぬスラングと皮肉の応酬、いったいこの民族は上手く人を罵れることにどれほどの情熱を費やしているのだろうかと呆れんばかりである。しかもそれが悔しいほどに面白いのだ。

 とにかくこの映画、下品が過ぎるものの台詞の一つ一つがウィットにとんでいて実に瑞々しい。例えば親から性的虐待を受けている家出少女に主人公が「俺は『プレシャス』のDVDなんて観たことない!」と言い放つのだが、その文脈の凄まじさに至っては語るも野暮だろう。ゲスとゲスの泥濘に咲き誇るそユーモアの花々は、我々日本人には永遠に手に入らないのではないかという程に遠く美しくもある。メキシコからヤクを運ぶために作り上げられた偽装家族の珍道中のはずが、それを観る私の目は70年代の理想的な白人の中流家庭を描いたドラマ観る田舎っぺのそれだったに違いない。

 映画サイトのレビューを観ると「下品」のキーワードがやたら目に付くので、単館系のキワモノ映画のような印象が拭えないかもしれない。しかし偽装家族の長女を演じるエマ・ロバーツ(ジュリア・ロバーツの姪っ子)や、その弟役のウィル・ポールター(リトル・ランボーズ、ナルニアで絶賛された子役)と、何気にこれから注目されるだろう若手も出演したりしているので、映画ファンは是非ともチェックしておいた方が良い作品だと言えるだろう。
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